⼟地活⽤・賃貸経営コラム

土地活用全般

土地活用はどこに相談すべき?相談先10選と選び方・準備・よくある質問まで徹底解説

土地活用にはさまざまな種類があり、投資額も高額になるため、最適な方法を見つけるために専門家に相談しながら決めたいという方も多いでしょう。
土地活用の相談先は選択肢が豊富にあり、悩みによって選ぶべき相談先も変わってきます。

この記事では、土地活用の相談先10種類と相談先を選ぶポイント、相談前の準備などを分かりやすく解説します。

土地活用の相談先10選


土地活用は税務、法務、建築などの専門的な知識も必要になることから、成功するには専門家に相談しながら慎重に進めることが大切です。
しかし、相談先によって得意分野や提案内容が異なるため、ご自身の目的や悩みにあった最適な相談先を見つける必要があります。
まずは、代表的な相談先ごとに、それぞれの特徴や相談できる内容などを具体的に解説していきます。

ハウスメーカー

アパートやマンション、戸建賃貸など建物を建築して土地を活用したいときは、ハウスメーカーへの相談が適しています。
建物の設計や建築だけでなく、建築後の管理やメンテナンス、経営の収支プランまで賃貸経営全般を相談することが可能です。
ハウスメーカーによっては、グループ内に管理や不動産投資部門があるケースも多いので、幅広い悩みに対応できることもメリットと言えます。

基本的には相談から建築プランの提案までは無料で受けられるハウスメーカーがほとんどです。

一方、ハウスメーカーは一般的に規格化された商品を提供しているケースが多いので、建物に独自性を求める人には不向きなケースもあります。また、老人ホームやサ高住など専門的な施設は対応していないケースもあるので、事前に希望の建物が建築できるかも確認することをおすすめします。

不動産会社

土地を活用するか売却して手放すかを悩んでいるのであれば、不動産会社に相談するのがおすすめです。

不動産会社からは、土地の売却や貸出、活用法についての提案を受けることができます。
とくに、地域情報に精通している不動産会社であれば、地元のニーズを踏まえた活用方法の提案を受けられる可能性があります。
売却するとなった場合も、そのまま査定・売却に進めることもメリットとなります。
不動産会社への相談は、相談からプランの提案や売却査定までは無料となるのが一般的です。

しかし、一度土地を売却してしまうと、取り戻して活用するのは非常に困難です。
土地活用難しい土地だと思っていても、専門家のアドバイスを受けると思わぬ活用法が見つかるケースもあります。まずはさまざまな視点から活用方法を検討することをおすすめします。

土地活用専門コンサルタント

土地活用の方法に悩んでいる、具体的な計画ができていない、狭小地や変形地など扱いが難しい土地で活用方法に迷っているといった場合は、土地活用専門コンサルタントへの相談が適しています。

土地活用専門コンサルタントでは、土地のニーズを調査したうえで、特定の用途に限定せず、幅広い土地活用の方法から最適なプランの提案をしてくれます。

また、既にハウスメーカーや不動産会社などで提案されたプランが適切なのか、セカンドオピニオンとして相談することもおすすめです。これにより、複数の選択肢を比較し、より納得のいく意思決定が可能になります。

土地活用専門コンサルタントの費用は、相談先や提供されるサービス内容によって異なります。無料で相談を受けられるケースもありますが、相談の段階から費用が発生するケースも多いので、事前に費用について確認しておくようにしましょう。

税理士事務所

土地活用を成功させるには、固定資産税や所得税などの税金の観点からも検討する必要があります。
また、相続した土地で活用を検討している、今後の相続対策として土地活用を検討しているといった場合も、相続税対策を踏まえた土地活用計画が必要です。
このような税金の相談や申告手続きのサポートを得たい場合は、税理士への相談をおすすめします。

しかし、税理士であっても得意分野は異なります。
税理士は企業や法人の税金を専門としているケースが多いため、相続税について専門としていない方もいます。
相続税なら相続に詳しい税理士、経営上の税金なら不動産投資に詳しい税理士など、専門分野を確かめたうえで相談するとよいでしょう。
なお、税理士は相談の段階から費用が発生するケースもあるので、事前に費用を確認しておく必要もあります。

建設会社

工務店やビルダーなどの建築会社では、ハウスメーカーでは対応できないより自由度の高い、オーダーメイドの建物建築の対応が可能です。
たとえば、土地が狭い、変形しているためにハウスメーカーの規格商品は建てられない、独自性のある建物が建てたいなど、建設に対して柔軟な対応を求める場合や、デザイン性や機能性に強いこだわりをもち、独自性のある建物を建てたいといった建設の相談に適しています。

ただし、商品が規格化されていない分、ゼロから設計をおこなうことも多く、打ち合わせやデザイン決定に時間がかかる点には注意が必要です。
また、ハウスメーカーのように経営の収支プラン提案や建築後の管理・運営サポートなど、賃貸経営全般をワンストップには提供していない場合が多く、別の会社に相談する必要が出てくる点にも気を付けましょう。

駐車場管理会社

土地が狭い、初期費用をおさえて土地活用したい場合、駐車場経営という方法があります。
駐車場経営をすると決めた場合の相談先としては、駐車場管理会社がおすすめです。
駐車場管理会社であれば、土地やニーズにあった駐車場プランや収支プランの提案などを受けられます。

駐車場経営は初期費用をおさえてスタートできるだけでなく、次の活用方法が決まれば撤収も比較的容易であるメリットがあります。
本格的な土地活用はこれから検討するからそのあいだだけ活用したい、といった要望にも対応できます。

ただし、駐車場経営はマンションなどに比べて収益性は高くはありません。
そのため、駐車場管理会社に相談して、初期費用は土地にあったプランなど専門業者ならではのアドバイスを得たうえでの検討をおすすめします。

また、駐車場管理会社では駐車場に関する相談しかできません。
そもそも駐車場が土地活用として適しているかはしっかりと検討したうえで、判断するようにしましょう。

司法書士

司法書士とは、法律手続きに関する手続きをおこなう専門家です。
主に、登記手続きの代行や裁判所に提出する書類の作成などをおこなっています。相続した土地なら相続登記、土地の購入なら所有権移転登記や抵当権設定登記など、土地活用時には登記手続きが必要になります。
このような登記手続きに関する相談や依頼は司法書士に相談するのがおすすめです。

司法書士への相談は初回無料であるケースも多いので、無料相談を活用してその後のサービスの費用を確認するとよいでしょう。
ただし、司法書士は、相続人間で揉めている、業者と揉めているといったトラブルへの対応はできません。
土地活用や相続に関して法的なトラブルに発展している場合は、弁護士に相談するようにしましょう。

金融機関

土地活用にはある程度まとまった資金が必要です。
たとえば、アパートやマンションを建てるとなれば、数千万円~数億円単位で資金が必要となるので、融資を利用するケースがほとんどでしょう。
そのような土地活用に関する資金の相談は、金融機関が適しています。

また、金融機関によっては土地活用や相続に関するコンサルティングサービスを提供しているケースもあるので、土地活用の方法から相談できる場合もあります。

ただし、金融機関のコンサルティングサービスは費用が高額になりやすい点には注意が必要です。税理や経営に関しては提携の専門会社を紹介されるケースも多いので、相談内容によっては直接専門会社に相談した方が費用をおさえられる可能性があります。

自治体窓口

土地にどんな建物が建てられるか知りたい、相続した空き家の対処に悩んでいるといったケースは、自治体の窓口に相談できます。
自治体の窓口では、建築規制や、リフォームや解体に関する補助金制度、土地の寄付などのアドバイスを得ることができます。
また、自治体が運営する空き家バンクや相続土地国庫帰属制度を利用して、管理負担のある土地や空き家を手放すことを検討している場合の相談にも適しています。

ただし、自治体の窓口では具体的な土地活用についてのアドバイスは得られません。
あくまで建てられる建物を確認したいなど、土地活用の前段階として活用するとよいでしょう。

なお、自治体への相談は無料でできますが、相談内容や利用する窓口によっては事前の予約が必要なケースもあるので確認が必要です。

デベロッパー

デベロッパーとは、単に建物を建てるだけでなく、都市開発や商業施設、マンション、オフィスビルなどの企画・建設から販売・運営までを手掛ける会社です。
広大な土地を有しており、大型の建物を建築したいといったケースでの相談が適しています。ディベロッパーは、土地のポテンシャルを最大限に引き出す高度な分析や資金調達、建設のマネジメント能力などが優れています。

デベロッパーによっては、地域密着型の中小規模マンションやテナントビル、戸建分譲地などに対応しているケースもあります。ご自身の所有する土地の規模や将来的に実現したい建物の種類、事業のスケールなどに応じて相談先を決めるとよいでしょう。

土地活用の相談先を選ぶポイント


土地活用の相談先は同じ分野でもさまざまな会社があります。
相談先ごとに得意分野や経験、サポート体制に差があるため、どの土地活用を選ぶ場合でも、信頼できる相談先を選ぶことが重要です。

ここでは、信頼できる相談先を選ぶポイントとして以下の3つを解説します。

  • 実績と専門性を具体的な数値で確認する
  • 提案内容の具体性と根拠を確認する
  • アフターサポート体制と長期的な信頼関係を重視する

実績と専門性を具体的な数値で確認する

土地活用は、多額の資金と長期的な視野を必要とする事業であり、その成功は相談相手の知識と経験に大きく左右されます。そのため、ご自身の土地の条件や活用目的に応じた実績や専門性を有しているかを確認することが大切です。
たとえば、マンション経営を検討しているのであれば、実際のマンションの施工数や入居率などの具体的な数値を確認しておくとよいでしょう。これらの数値は、その企業がもつノウハウや対応力、顧客の満足度をはかるデータとなります。

また、自分の土地と似たような土地の活用事例などを紹介してもらう方法もおすすめです。類似事例を見ることで、ご自身の土地活用が具体的にどのように進められ、どのような結果が期待できるのかをよりイメージし、安心して適切な判断をおこなうための判断材料とすることができます。

提案内容の具体性と根拠を確認する

土地活用方法の相談時には、専門家から具体的なプランや収支計画などの提案を受けることになります。
この際、自分の要望や資金にあっているかだけでなく、提案内容の具体性やその根拠、デメリットまで確認することが大切です。漠然とした説明や都合の良い数字だけを鵜呑みにせず、疑問点は納得いくまで質問するようにしましょう。

たとえば、アパート経営の提案であれば、単に表面的な利回りや初期費用だけでなく、修繕や空室率も考慮した長期的な収支シミュレーションに基づいたプランかなども確認するようにしましょう。
提案される数字だけをみるのではなく、その根拠まで納得できるかが重要です。

もし、自分だけでは提案内容の妥当性やリスクなどを判断できない場合、税理士や不動産鑑定士など、別の相談先にチェックしてもらうこともおすすめです。

アフターサポート体制と長期的な信頼関係を重視する

土地活用は、初期の計画や建築だけでなく、その後の運用が数十年単位にもおよぶ長期にわたる事業です。
そのため、相談先と契約して土地活用がスタートすれば関係が終わりではなく、多くの場合、契約後も管理を任せるなど、長期的な関係が続きます。市場の変化や法改正、予期せぬトラブルなど、長期運用中には様々な事態が発生し得ます。そのため、契約先と長期的な信頼関係を築けるかを確認することも大切です。

アフターサポートが充実しているかはもちろん、担当者の対応が丁寧であるか、人柄的に長く付き合っていける信頼できる人物であるかなどを見極めるようにしましょう。
継続的なコミュニケーションを通じて、信頼できる会社や担当者であることが確認できれば、契約後のトラブルや日々の管理業務に煩わされることなく、本業やプライベートに集中でき、安心して土地活用を継続することができます。

土地活用で相談する前に押さえるべき3つのポイント


土地活用の相談をやみくもにおこなっても悩みが解決できないまま終わる、あるいは、納得しないまま契約まで進められてしまった、となりかねません。
土地活用に関して相談する際には、まずは以下の3つのポイントを押さえておくことが大切です。

  • 土地活用の目的を明確にする
  • 土地条件を整理する
  • 複数社への相談を前提とした比較検討をする

それぞれ説明していきます。

土地活用の目的を明確にする

土地活用の目的は人それぞれです。
収益を得るにしても、固定資産税分を賄えればいい方もいれば、最大限の収益を求める人もいるでしょう。
また、相続税や所得税の節税対策として土地を活用するケースや、将来の資産継承を目的とする場合もあります。
土地活用の目的が曖昧なまま専門家へ相談しても、相談先から最適な提案を受けられないだけでなく、提案が自分の意向に合ったものなのかどうかの判断もしにくくなります。
目的を明確にすることで、相談内容も明確になり、的確な提案を受けやすく、最終的な意思決定もスムーズに進めるようになるでしょう。

土地条件を整理する

どのような土地活用が適しているかは、土地の条件によっても異なります。
たとえば、建築制限がかかる土地では建てられる建物が限定されるおそれがあります。また、駅からの距離や土地の面積、周辺環境によっても最適な活用方法が異なるものです。

土地の条件を整理しないまま専門家に相談すると、土地状況の把握に時間がかかったり、実現できないプランを提案されたり、効率が悪くなってしまいます。
土地の形状や面積、周辺環境、土地にかかる制限などは、できるだけ把握して相談先に伝えられるようにすると、効率的に進めやすくなります。

幅広い土地活用方法を扱う会社または複数社への相談で比較検討する

土地活用の相談先は、それぞれの会社がもつ経験値や専門性が異なるため、提案内容も大きく変わってきます。また、特定の分野に強みをもつ会社もあれば、幅広い選択肢の提案をできる会社もあります。
1社だけの相談では、その提案が自分に合っているか判断しにくく、後から「もっといい活用方法があったのではないか」と後悔することにもなりかねません。

土地活用は初期費用も高額になる大きな投資であり、不動産だけでなく税金や法律などの幅広い専門知識も必要です。
複数の専門家に相談し、提案内容を比較することで、自分の土地にあった最適な土地活用を選ぶことができます。

「土地活用の相談」に関するよくある質問


最後に、土地活用の相談に関して、よくある質問とその回答を紹介します。これらの情報を事前に確認することで、より安心して専門家への相談に臨み、スムーズに土地活用を進めることができるでしょう。

相談先に期待できるサービスは?

土地活用方法に対する相談であれば、専門家から以下のようなサービスが期待できます。

  • 土地の評価やニーズの分析
  • 建築規制や税制など、法的及び規制上の助言
  • 最適な活用プランの提案
  • 具体的な収支シミュレーション
  • 資金調達に関するアドバイス

ただし、ここまで解説してきた通り、相談先によって提供されるサービスや得意分野、専門性などは異なります。土地活用方法を多く扱っている会社、もしくは複数の会社に相談をしたうえで提案を受け、比較検討することが大切です。

相談では何を準備し、どんな相談をすれば良い?

土地活用の方法に悩む場合は、まずは土地活用の目的や土地情報、希望条件を相談先に伝えられるように整理しておくことが大切です。

土地活用の目的については、どのような収益を期待するのか、相続税対策として活用したいのかといった目的を設定することが、最適なプランを見つける第一歩となります。また、希望条件については、投資にかけられる予算や将来的に売却したいかどうか、などです。

そのうえで、土地活用の選択肢や想定されるリスクへの対策、収支シミュレーション、長期プランなどを相談すると、土地活用成功の具体的なアドバイスを得やすくなるでしょう。

相談は無料?契約を迫られることはない?

基本的に初回相談や基本提案は無料であるケースが一般的です。多くの相談先は、最適な土地活用の方法や資金調達などについて、無料で提案やアドバイスを提供してくれます。

ただし、詳細な調査や分析などが必要になる場合は費用が発生し、有料となるケースもあるので、事前に無料相談の範囲や相談費用を確認しておくようにしましょう。

なお、信頼できる業者であれば、丁寧にヒアリングをし、助言をしてくれます。相談時に強引に契約を迫ることはありません。しかし、なかには強引な営業をおこなう業者もいるため、相談先は慎重に見極めることが大切です。

まとめ

ここまで、土地活用の相談先や相談先の選び方、相談前に準備しておくといいことなどをお伝えしました。
土地活用の相談先は幅広く、相談したい内容によって適切な相談先が異なります。
また、同じ分野の相談先であっても提案される内容は異なるので、できるだけ複数社に相談して比較検討することが大切です。

最適な土地活用方法は、土地の状態や希望などによって異なります。
まずは、目的や土地の状況を整理し、専門家に相談することからスタートするとよいでしょう。

著者プロフィール

林 健太郎

林 健太郎

株式会社ヒノキヤグループ レスコ土地活用カンパニー 事業推進部 部長

二級建築士・防災士として、建物の構造や設計、法規制に関する知見を持つ土地活用のスペシャリストです。株式会社ヒノキヤグループのレスコ土地活用カンパニーにて事業推進部長を務め、数多くの土地オーナー様が抱える「土地の有効活用」という課題に対し、最適なソリューションを提供してまいりました。

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